深海的恋色研究室

―深い深い貴方の奥底へ、息も出来ぬような恋をしよう




***




体に腕を回されて

引き込まれる 無限の深海

光はあるのに見えないの



体を噛まれ 広がってゆく傷

愛の液も 黒く染まるわ

体を貫かれ 心臓、頭に回る

愛も辛く痛いほどね

足元に貴方の欠片が落ちる



そしてその 暗く遠い穴へ

私を飲み込めばもうそこは 永遠の真底



サファイア色の瞳に恋焦がれて

もう息が吐けないの

泡を吹いて 波に巻き込まれ

もう私は貴方の深海魚




***





二つの顕微鏡で 心を覗いてみて

あら心臓に気泡があるわ

心以外機能していないようね

目を覚まさぬ少女 このままで



現実を見る 麻酔をあげましょう

夢に疲れた人魚姫たちへ



毒に塗れた体を 解剖して

ほら溢れ出してくる血液

バラバラになった灰色の牙

サファイアを飲み込んだ胃に針を刺す



そしてお気に入りの実験台―コレクション―に!




***





君の何もかもを 僕の中へ注ぎ込みたい

この世界で息をするように

果てしない底へ身を投げよう

たった一つの小さな終焉 楔を打ちに



ただ真っ直ぐなだけなのに

その想いも願いも 鋭意すぎて

君の心を突くことしか出来ない



青かったはずの灰色の世界 君を産み付けるよりも

誰にも見えない 邪魔されない底で

息も吐けぬような恋をしよう




***





もう 息は出来なくなった

いや 息をすることを忘れてしまった

だけど苦しい 苦しみは覚えたままなのに

その底が思い出せない



なぜか辛い記憶しかない

いや 楽しいということを忘れてしまった

だけど辛い 辛さは覚えたままなのに

泡の中に景色が映される



人々は言った こんなものが真実であるべきでないと

私たちも言った 信じられないと

だけど泡は映し続ける 信じがたい真実を

僕が拒み続けた 君を傷つけた記憶を

私が受け入れてしまった 貴方の狂気的な愛を



もう、遅い

気づいた頃には この海を飲み込めなくなった

この海で 息もままならない




***





When two people fell in love, it was already depravity.

So dreaming, Did not accept the truth.

And, dead while dreaming, Myself think happiness.

But the was waiting, It was regret and sin.












初公開:2015年8月21日
詩過去作集「狂愛」収録(Ⅲ.Depraviti Mâle)

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