詩…「潜在世界」
運命の道は幾千もあり
選んでどこへでもゆける
そのいばら道も 夜毎歩けば
血が血でなくなり
その道は赤く満ちる
そこにあってそこにない
歪んだ 螺旋階段の先
泥まみれ血まみれでも
恐れず怯まず 進んで 溺れ死のうとも
みるく色の寝台に倒れ伏せば
体の輪郭に合わせ
汁飴は渦巻いて 飴細工の夜始まる
纏わりつく白濁
それは透明になって
記憶を映し出す
生きたことのない
閉ざされた 機械仕掛けの街
差し出される手 黒革の手袋
繋いで絡めて 私を思い出さないで
たとえ二人の間に
海を裂く 別れがあっても
見えない体 肌色の温もり
飲み込み吐き出す 息すること忘れないで
by Pixabay https://pixabay.com/photo-2622529/
私が書いた詩の中でも、一位二位を争うほど好きな詩。
と同時に、よくこんなの書いたなと2015年の黒薔薇に思う。
ちなみに争っているのは、夢現遊園地~silver's wonder landの「銀色遊園地へようこそ」。
これを書いた当時、初めて映画「チャーリーとチョコレート工場」を見まして。
気持ちがファンタジーになっていたのだと思います。
それも今の時期でしたね。大好きな映画です。
しかし、具現化する要素が多く含まれている分、写真にするにはかなり悩みましたね。
これは無理だ!と。(笑)
でも、潜在世界では「みるく色の寝台に倒れ伏せば~…」からが重要な部分なので、
夢の中にいるような雰囲気と、みるく色・汁飴・白濁のような"白"を思わせる靄を入れて、
スチームパンクを想起させる懐中時計を入れました。
潜在世界に関しては、この詩に留まらずもっと掘り下げて行きたい。
潜在世界が一体何なのかはどうであれ、我々詩人に限らず世界中に溢れるアートが、"潜在世界"を求めるものだと私は思う。
だから潜在世界を追い求めていくことは、私共の運命なのだ。
初公開:2015年11月16日
詩過去作集「異世界」収録
0コメント