詩…「弔蝶の飛翔」生と死が始まる場処は静かなところでしょうか血肉で塗れたところより遠くにあるでしょうか白百合の香りが立ち込める部屋の空気は過ぎし日と同じ儘で黒衣で俯く人々の上で魂は既に空を浮遊している私たちは死に触れることができない生と死が始まる瞬間はどんな時も美しい神秘にただ涙を零し誰もが世界に望まれ善も悪も其処には無かった誰かが消え去るときは憎たらしいほどの青空で罪を焼き尽くす炎さえ夜空に咲く花の如く私たちはいつまでも心を映し続ける2018.10.26 06:56
Bookshelf更新「Lily Garden」、「Quiet War」Bookshelfに旧・黒薔薇卿の本棚からの詩を掲載しました。これで現在公開している単発詩をすべて移行し終わりました。これからは、四季ポエムや詩集などの移行作業をいたします。2018.07.10 13:40
詩…「Quiet War」平和が壊れても私の世界は壊れない何が降ろうが失くなろうが今日も薔薇を愛でるの貴方が平和なら平穏じゃいられない過る黒い予感を押し込めて薔薇を手折る平和なんかそんなもんよ隣の人が消えなければ 幸せ蚊帳の外で胸騒ぎ膨らます恐ろしさ世界は争うわ唯一つのためだけに零れ落ちるものが虚しさというものなのも知ってる人々は過ちを繰り返したい生き物我が身可愛い 悲劇と憎悪に悦を覚える私のように命ほど 見えないものはない動きも止まりもせず空(くう)を漂いもしないこの今はたった砂の一粒なのに一喜一憂 慌ただしい愛ほど 見えないものはない表すのは物質だけ触れられぬ蝶のようだけど 尚舞うようならばその翅に棘を刺すまで世界は再び静まり返る2018.07.10 13:34
リクエスト詩…「Lily Garden」色とりどりの花が咲き乱れるあの園で駆けまわるあの子が憧れだった少しでもあの子に近づきたくて胸に燦然と佇むコサージュを真似たりしてそんな私でも あの子は優しく二人だけの秘密を交わしたり夢とお星さまを数えたこれを好きと呼ぶのならしてはいけないことなどないと重ね合わせた蕾私の世界はあの子だけのものだったお屋敷に遊びに行った時見知らぬお兄さまとあの子は愉しそうに語り合っていた私の心は静かに焼け焦げてお呼ばれしたお茶会で隣に座るお兄さまの紅茶にそっと小瓶から 一滴死を垂らしたの無垢なる残酷を知らぬ時は深まり………再び出会った時あの子は白を纏ってた私には穢れて見えたけど運命は私を拒んだ夜毎濡らし続けた胸の花どんなに道に迷ったって捨てずにいたけれど此処を離れる時強く 強く握り潰したの2018.07.10 13:22
詩…「屋根裏の廃れた書斎にて」私の心は熔岩だ。君を憎んで、憎んで、憎み尽くすことはできるが、純粋に愛することはできないだろう。ああ、私の心が大海であったならば。荒波で君を飲み込むことはあれど、ひと時でも君を優しく包み込むことができる。君には、あの遠くの街を覆うように聳える、怪物の如き火山が見えるだろうか?私はあの火山のように、噴火をすることはできない。いや、しようとすらしないだろう。なぜなら、君は存在しないからだ。私の瞳に君を映せば、存在しうることもあるだろうが、君の瞳に私が映ることは、一生無い。悲しいことだと、絶望し、果てようと考えたこともある。だが、君の瞳が他の誰かを映すなど毛頭考えられない。ならば君が、私の瞳に存在し続けられるよう、何世紀でも生きてみせよう。いつ生まれようが、いつ死のうが、胸にあるのはただ一つ。君を愛していることだ。2018.06.29 09:33
詩…「人間たる所以」シスターは、一人の幼くも熟れてもいない少女に語ります。『貴方は、己を人でなしとお思いですか。それは何を以て、そう思いますか。貴方の周りを、まだ見ていない世界を見回しなさい。あの人は、人間ではないですか?…そう。人間です。常識に該当する人間など、本当はこの世にいないのです。もう一度、己を見ておやりなさい。人間たる所以はただ一つ。この世界に生まれたことです。さあ、もう一度。胸を張って歩き出して。』2018.06.29 09:22
詩…「黄昏憂鬱症」夕日が傾いてるその刹那の時を列車は走るよ霞んだ街並み影を曳きながら私の愛は貴方の愛に響き合わないのね二人の夢が私の明日を蝕んでいくのよ一言 一粒涙零すように呟いて歩くのママに教わった呪いの言葉を夜に眠れば私の中の魔物が暴れてしまう二人の元に一番星が堕ちていったみたい貴方は未だ私のことを気づきはしないけれど私はずっと貴方の近く爪痕を残してきた叶わないならこの世界はもういらないわ2018.05.28 06:04